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学会におけるシステマティックレビューとは?

システマティックレビュー(しすてまてぃっくれびゅー、英: Systematic Review、仏: Revue systématique)とは、特定の研究テーマに関する既存の文献やデータを網羅的かつ体系的に収集、評価、統合する手法です。この方法は、エビデンスに基づいた結論を導くために不可欠であり、医学や心理学、教育学、社会科学など幅広い分野で活用されています。システマティックレビューは、従来の文献レビューと異なり、明確な手順と評価基準に従って実施され、研究の信頼性を高める役割を果たします。

システマティックレビューの定義と目的

システマティックレビューは、ある特定の研究課題や質問に関連する既存の研究成果を徹底的に調査し、収集したデータを評価・統合する方法です。この手法は、個々の研究が持つバイアスや限界を克服し、より信頼性の高い結論を導き出すことを目的としています。システマティックレビューは、個々の研究の結果をメタ分析などの統計的手法を用いて統合し、全体的な効果や傾向を明確にする役割も持ちます。

この方法は、医学や公衆衛生、教育学、心理学などの分野で特に重要視されています。例えば、新薬の効果を評価する際、複数の臨床試験の結果をまとめることで、全体的な有効性やリスクをより精密に判断できます。システマティックレビューは、エビデンスに基づく意思決定を支えるための重要なツールであり、学術研究においてもその信頼性を高めるための手法として広く認識されています。

システマティックレビューの歴史と発展

システマティックレビューの概念は、20世紀後半にエビデンスベースドメディスン(EBM: Evidence-Based Medicine)の普及とともに発展しました。それ以前は、文献レビューが主に専門家の主観に依存して行われており、レビューの質やバイアスに大きな差がありました。システマティックレビューは、この問題を解決するために、客観的かつ再現可能な方法として開発されました。

システマティックレビューの普及に大きく寄与したのが、1993年に設立されたコクラン共同体(Cochrane Collaboration)です。コクラン共同体は、医療分野におけるシステマティックレビューの基準を設定し、その結果を公開することで、医療従事者や政策立案者に信頼性の高いエビデンスを提供することを目的としています。コクランレビューは、システマティックレビューのモデルケースとして世界中で広く知られており、多くの分野でこの方法論が取り入れられるきっかけとなりました。

現在のシステマティックレビューの実施方法

現在のシステマティックレビューは、厳格な方法論に従って実施されます。まず、研究者は明確なリサーチクエスチョンを設定し、その質問に基づいて検索戦略を立てます。データベース(例: PubMed、Cochrane Libraryなど)を使用して、関連する文献やデータを徹底的に検索し、選定基準に合致する研究を収集します。この過程では、検索のバイアスを排除するため、検索条件や対象期間を詳細に記録します。

収集した文献は、質的評価を通じて分析されます。この評価には、バイアスのリスクを評価するためのツール(例: ROBIS, PRISMA)を使用し、信頼性の低い研究を除外します。信頼性の高いデータのみを統合し、全体的な結論を導き出すためには、メタ分析と呼ばれる統計手法が用いられることがあります。このようにして導かれた結論は、個別の研究では得られない全体的な傾向や効果を示すものであり、学術的および実践的な価値が高いです。

システマティックレビューの意義と学術的影響

システマティックレビューは、個々の研究では把握しきれない全体的な傾向や効果を示すための重要なツールです。これにより、研究者や政策決定者、臨床医は、より確実なエビデンスに基づいた意思決定を行うことが可能になります。また、システマティックレビューは、新たな研究課題の発見や、現行のガイドラインの改善に寄与することもあります。

学会においても、システマティックレビューは重要な役割を果たしています。新しい治療法の有効性を検証する際や、教育プログラムの効果を比較する際など、多くの分野で活用されており、研究結果を総合的に評価する手法として学術的な評価が高いです。システマティックレビューを実施することで、研究者は特定のテーマについてより深く理解し、質の高いエビデンスを提供することが求められています。

システマティックレビューの未来と展望

システマティックレビューの手法は、今後もさらに進化し続けると考えられます。近年では、AIや機械学習を用いた文献検索やデータ評価の自動化が進んでおり、これにより効率的かつ正確なシステマティックレビューが可能になると期待されています。また、オンラインデータベースの充実により、より多くの情報にアクセスできるようになり、レビューの質も向上しています。

将来的には、より多様な分野でシステマティックレビューが行われ、研究者や政策立案者にとって欠かせないツールとしての地位を確立するでしょう。また、国際的なコラボレーションやオープンアクセスの普及によって、システマティックレビューの成果が広く共有されることが期待されます。このように、システマティックレビューは学術研究の未来において、ますます重要な役割を果たすと考えられています。



 


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