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学会におけるインパクトファクターとは?

学会におけるインパクトファクターとは?(いんぱくとふぁくたー、Impact Factor、Facteur d'impact)

学会におけるインパクトファクターとは、学術雑誌が他の研究者によって引用された頻度を定量的に評価する指標を指します。インパクトファクターは、ある学術雑誌がどれだけの影響力を持つかを示す重要な基準として利用されており、研究の質や重要性を測る一つの指標とされています。

インパクトファクターの歴史と由来

インパクトファクターは、1960年代にユージン・ガーフィールド博士によって提唱されました。ガーフィールドは、学術情報の流通と評価を目的とした「科学情報研究所(Institute for Scientific Information, ISI)」を設立し、その中でインパクトファクターを導入しました。この指標は、特定の期間(通常2年間)において、ある学術雑誌に掲載された論文がどれだけ他の研究で引用されたかを計算することで求められます。

ガーフィールドの目的は、膨大な数の学術雑誌の中から、研究者が最も影響力のある雑誌を選びやすくするための指標を提供することでした。当初は科学分野に限られていましたが、その後、社会科学や人文科学など他の分野にも広がり、今日では多くの分野で標準的な評価指標となっています。

インパクトファクターの構成と役割

インパクトファクターは、以下の方法で計算されます:

  • 引用数の集計: 特定の学術雑誌に掲載された論文が、過去2年間にどれだけ引用されたかを集計します。
  • 論文数の集計: 同じ期間に、その学術雑誌に掲載された全ての論文の数を集計します。
  • インパクトファクターの計算: 集計された引用数を論文数で割ることで、その学術雑誌のインパクトファクターが算出されます。

例えば、ある学術雑誌の2019年と2020年に掲載された論文が2021年に合計100回引用され、2019年と2020年の掲載論文数が50本であれば、その雑誌の2021年のインパクトファクターは「2.0」となります。

インパクトファクターの主な役割は、学術雑誌の影響力を評価することです。高いインパクトファクターを持つ雑誌は、一般的にその分野で権威があり、掲載される研究は高い評価を受ける傾向にあります。これにより、研究者は自身の研究成果を発表するための最適な雑誌を選択しやすくなります。

インパクトファクターの現在の使われ方

今日、インパクトファクターは学術界において広く使用され、研究者、学術雑誌の編集者、そして研究機関にとって重要な指標となっています。特に、研究者の評価や研究助成金の獲得、学術的なキャリアの発展において、インパクトファクターが重要視される場面が多いです。

しかし、インパクトファクターには批判もあります。主な批判点は、雑誌全体の評価が個々の論文の質や影響力を必ずしも反映していないこと、また、引用数が多いが質の低い研究が高いインパクトファクターを持つ雑誌に掲載される可能性があることです。そのため、近年ではインパクトファクターに依存しすぎない、より包括的な研究評価手法が求められるようになっています。

さらに、デジタル化の進展により、インパクトファクター以外にも、研究の影響力を測定するための代替指標が登場しています。たとえば、Altmetrics(オルトメトリクス)は、ソーシャルメディアでの言及やオンラインプラットフォームでのダウンロード数を基に、論文の影響力を評価する新しい手法として注目されています。

インパクトファクターは、学術的な評価における重要な指標であり続けていますが、その限界を理解し、他の評価手法と組み合わせて使用することが、より公平で正確な研究評価を実現するために必要です。



 


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